日本の就活に参加する海外の学生達〜韓国

ソヨンさん1

ソヨンさん(仮 24歳)

韓国外語大学4年生。京都への1年間の交換留学を経て、現在日本への就職を目指している。

韓国外語大学に通うソヨンさん(仮)は現在日本への就職をめざし活動中。毎週末同じく日本への就職を希望する仲間と勉強会を開き、エントリーシートをお互いに添削し合ったり、面接練習をしたりしている。

きっかけは大学の交換留学制度。日本語を専攻していたソヨンさんはその制度を利用して2013年8月から1年間京都の同志社大学へ留学した。実家を離れて生活するのも初めてで、全てを自分で選択していく生活は自由で楽しく、日本の文化も大好きになった。韓国へ帰った後もまた日本に戻りたいという気持ちが強く、日本での就職を目指し活動している。

日本で働くための就活

理想は日本に滞在し就職活動をすることと話すソヨンさん。しかし費用もかかるので実際は韓国へ採用に来てくれる限られた企業にしかアプローチできず、チャンスが限られている。仲間との勉強会は少ないチャンスをものにするための情報交換の場所でもある。合同説明会などに参加する企業から、直接大学にきて面接をする企業まで各社採用の仕方はそれぞれ。その他には大手就職ナビサイトなどが日本で開催する国際人材向けのキャリアフォーラムなどの機会もあるようだ。

就活の仕方は日本人と同様。自己分析や企業分析をしながらエントリーシートを書き、筆記試験や数回の面接を経て内定がでる。

韓国の就活、日本との違い

一方で、韓国での就活は大学四年の後半もしくは卒業してからするのが一般的だという。卒業後インターンなどで経験を積み就職するらしい。韓国企業の採用は実績重視と言われ、”スペック”と表現されるTOEICの点数や大学での成績、資格などが採用される重要な要素で、それらを取得するために韓国の大学生は入学後も必死に勉強する。ソヨンさんの話では卒業後1年以内に就職できるのは約50%と狭き門。一流大学でもこの”スペック”が足りないと大手企業への就職は叶わない。

日本の就活よりも厳しいと言われがちなこの韓国の就職活動。だたその一方でそのスペックを取得するために留学する学生が多かったり、就職年齢には日本より幅があるなど力をつけるための時間を日本よりとりやすい印象をもった。ソヨンさんの感覚ではだいたい女性で24歳、男性で26歳くらいが韓国での平均的な就職年齢といったところらしい。

もう一つ日本の新卒採用大きく違うのは、どの部署で働くかが最初から分かっていること。日本の採用は、就活の段階では入社後どの部署に配属されるかわからない場合がほとんどだが、韓国では特定のポジションに申し込むのが一般的な様子。ソヨンさんの参加する勉強会のメンバーの一人ジブンさんは「例えば外語大に在籍で特に金融機関でインターンをした経験があるわけでもない自分は、韓国では銀行などは志望できないが、日本なら銀行に採用される可能性もある。」という。韓国では学生時代に希望する企業の事業内容に合ったような資格を取得したり、インターンシップなど経験を積み上げていくのが採用されるために就活生が行うことのようだ。

韓国の就活は卒業生の数に対して採用の数が少ない為に確かに厳しいが、仕事内容に関連する資格やインターン経験が重要視されるというのは、採用の基準としては日本のそれより理解しやすいように感じる。また日本では大学で勉強した内容、経験した事柄に関係なく入社後に配属部署が決まる一方で、韓国では特定の部署にエントリーする。

日本の就活、世界の学生との競争

ソヨンさんの参加する勉強会を見学していて、なぜ日本なんだろうと考えていた。例えばアメリカの会社には色んな国籍の人がエントリーするんだろうなというのはイメージしやすいけれど、日本の就活は日本人だけのような印象をもちやすい。少なくとも私はそんなイメージを持っていた。

しかし、外から見たら日本は確かに大学卒業生の約8割が就職できて世界第3位の経済規模を持つ国。外国人からみて日本が就職先の選択肢として見られても全然不思議ではない。グローバル化が叫ばれる中、企業も優秀な学生はどこからでも取りたいはず。日本の就活も世界の学生含めた競争となっている。

2015年05月13日 | Posted in 留学 | タグ: , , No Comments » 

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