在学中のインターンで考えた仕事の意義。中国人学生。

智愛さん

智愛さん (仮 24)

復旦大学(中国)を卒業後、今はソウル大学大学院(韓国)で国際関係学を勉強している。北朝鮮問題に関心があり、将来は国際関係学の教授を目指している。

働く意味を考えさせられたインターンシップ

「何のために働いているのかよく分からなかった。利益を出すためだけに働いているような気がして、自分がその仕事に意味を見出せていないように思った。」とインターンシップの経験を振り返る。当時上海にある復旦大学に通っていた智愛さんはドイツ系の大手企業でインターンを経験した。

中国では学生のうちにインターンをするのが一般的になって来ているという。他の国でよくあるフルタイムのものと違い、週に何日かパートタイムで行われるものが多く授業も受けながら働く。そういったインターンシップを卒業の必須条件にしている大学や学部がいくつかあるという。智愛さんの所属していた学部もそうだった。「この経験のおかげで、会社の利益を追求するより何かもっと社会的に意義のある仕事をしたいと思う自分に気づくことが出来た。」という。

インターン終了後、国際関係学部に所属していていた智愛さんが卒業論文のテーマを何にしようかと考えていた中、場所的にも隣の国で自然と興味を持ち始めたのが北朝鮮問題。「北朝鮮で飢餓に苦しんでいる人たちを助けたい。」中国が重要な役割を担うところと話す。その関心のままに、卒業後は韓国の大学院に留学しようと決意した。韓国に行ったら言葉も覚えるし、勉強する環境も整っているし一石二鳥。

元々本などで他人の考えからインスピレーションを受けたり、自分の考えを文章で共有するのが好きな性格。学部の3年生あたりからテーマを決めリサーチする授業も増え、「研究」がとても好きになりその道で生きていきたいと思うようになった。

家族との時間

2013年の7月に復旦大学を卒業して、ソウル大学の授業が始まったのが2014年の3月から。約半年間の休みには実家に戻り家族とゆっくりと過ごした。「家族との時間を大切にしたいと強く思うタイプの人間なんです。生活水準の高さより生活の質に価値を置く方。」という。インターンを通して、自分のキャリアの為になかなか子供との時間を作れない女性社員をみた。子供が熱を出しても一緒に居てあげられない、ベビーシッターへかけた電話から子供の泣き声が聞こえてくる。ちょっと違うなと思った。

研究職は比較的時間の使い方に裁量がありそうだという点も智愛さんが現在の進路を選んでいる理由の一つでもある。「まだ仕事を生活の一部としてイメージするのは難しいし、プライベートな生活とのバランスの取り方もこれから学んでいくのだろうけど、多分自由な時間の多い仕事でないと自分には合わないんだと思う。」という。

母国語が中国語で、留学で身につけた韓国語の他に英語も堪能な智愛さん。教授を目指せるならいったん国はどこでもいいという。優秀でバイタリティーのある学生ならではの言葉。PhDを取得したら講師として働き、准教授、教授と階段を上っていく。同時に、両親との時間や子育てなど家族との時間も大切にしていきたいと、アカデミックな進路と両立できる道を探るそうだ。

最後に

もともと研究が好きだったという事でインターン経験がその後の進路選択に影響したかは分からないが、それを経験することで将来の仕事観のようなものが作られた。智愛さんの仕事を選ぶ価値観は①自分が関心の持てる事、②意義のあること、③家族との時間がとれることだ。インターンがパートタイムで行われるのが一般的というのは興味深かった。授業と両立できるなら学生にとっては職業体験できる場が増える。

将来的に子供を欲しいと思っている学生にはそれに関わる会社の制度やその実態も気になるところ。家族との時間を大切にしたい智愛さんはインターンを通してそこに違和感を持った。子供を欲しいと思った場合に身体的な年齢制限はどうしてもある。そこにまた受験やら就活やらと次々と時間制限がかけられて、会社に入ったら忙しくワークライフバランスが取りにくいのでは人生設計も難しい。

2015年05月31日 | Posted in 留学, 研究 | タグ: , , No Comments » 

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