途上国支援に関心を持って、海外インターン、韓国大学院留学。

原元さん1

 

原元由貴さん(26歳)
アフリカの開発援助をしたいという想いから、国際協力を学ぶ大学院生。カナダへの高校留学、ウガンダやスーダンでのインターン、韓国への大学院留学など様々な経験を持つ。卒業後は開発コンサルティング企業や、政府開発援助機関で働くことが目標。

国際協力に興味を持ったきっかけ

「小学校の頃に授業で『ハゲワシと少女』の写真を見て泣いてしまったんです」と、国際協力へ関心をもった最初のきっかけを教えてくれた。ピュリッツァー賞も受賞したこの写真はアフリカ・スーダンで餓死しそうな少女をハゲワシが狙っている場面が撮影されたもの。ヒトが鳥に食べ物として狙われている写真に、先進国日本で生まれた当時小学生の原元さんは「助けなきゃ」という想いに駆られたのを今でも憶えている。

中学校へ入学した後もその想いは消えず、どうしたらアフリカの飢餓を救えるのだろうかと段々に考え始めるようになる。ネットや本などで色々見て回るうちに、国際協力とか開発援助とかそういった発展途上国を支援する仕事があると知った。

カナダの高校へ進学

「外国で仕事するってことは、英語やな。そのあと大学で経済と専門の勉強したらなれるよな。おかん私アメリカの高校行きたい。」原元さんは中学校1年の時に母親に相談した。「せやな、行ってきーや」とおかん。最近では「お母さんは世の中がグローバル化するって分かっとったんや」と冗談まじりに言うような大阪の普通のおばちゃんだという原元さんの母親。もとは韓国の出身で、二つの国を見てきたその経験から、「外交官になってあんたが日本と韓国の問題解決しーや」なんて原元さんが幼い頃には話たりしていたとか。そんな母の協力が原元さんを後押しした。

最初アメリカの高校を探していたが9・11などもありカナダの高校を進学先として選んだ。高校は外国からの留学生のためにESL(English as a Second Language:語学学校) が併設されていて、そこで英語を勉強しながら通えるように出来ていた。最初は当然話せないし授業では何を言っているか分からなく大変だったらしいが、若いうちに3年程居ればそれなりに成るというのは大体想像できると思う。アメリカから変更して選んだカナダだったが、ボランティア大国らしく、返ってそこで高校生活を送る中で自然とその精神に触れられたのでラッキーと話す原元さん。それが帰国後の活動へと繋がっていく。

海外ボランティア、インターン経験を積む

原元さん2

親の希望もあり日本の大学へ進学していた2011年、東日本大震災が起こる。そもそも途上国支援を志すような性格、いてもたってもいられなくなり学生グループでボランティアバスを企画したり、岩手県の遠野に滞在し夏休み中ボランティア活動を行った。被災地での精力的な活動は海外メディアの目にも止まり、TIMESやBBCにも取り上げられた。

原元さんはそこで知り合った人達との繋がりから、アメリカで東日本大震災の現状を伝えるインターンの機会を得る。外務省が企画していたもので現地で取材したものをアメリカへ持って行き、それを紹介するイベントを企画したりする内容のものだった。今所属している大学院へ入学と同時に休学届けを出しそのインターンの為にアメリカに向かった。人との繋がりから色んな経験をできるチャンスが広がっていく体験をした原元さんは、神戸大学大学院へ戻った後もウガンダの教育省のインターン、JICAのスーダンでのインターンなど次々と現場を経験できる機会を得る。

海外大学院で2つ目の修士

Campus Asia Programといって日中韓の大学同士が協定を結んでお互いの大学で学ぶ事のできるプログラムがある。原元さんはそれに立候補して現在高麗大学の大学院で勉強している。関心は発展途上国での職業訓練。論文のテーマは「アフリカにおける職業訓練開発・援助機関が直面する課題」で韓国政府の開発援助のケーススタディー。開発援助先進国と比べると韓国の行う支援は継続して行われず現地で中々回っていかないという現状を調査した内容で、1954年に設立されてたJICA(日本の政府開発援助実施機関)と比べて1991年と歴史の浅いKOICA(韓国のJICAに相当する機関)の抱える課題をこれまでのインターン経験や現地で得たデータなども活用しながら論じていく。この7月には留学を終えて神戸大学へ戻りもうひとつの論文に取り掛かる。2年間の修士課程の中で、高麗大学では国際学修士を、神戸大学では経済学修士を取得する予定だ。

卒業後の進路

卒業後は民間の開発コンサルティングやODAを行う政府機関への就職を目指す。これらの就職先は即戦力の人材を採用する傾向にあるらしく、ある一定の職務経験が求められる為、一般的に人材コンサルタントなど近い仕事を経験してから転職して就く場合が多いらしい。遠回りはしたくない性格の原元さん。中学生のとき途上国開発の仕事を目標に逆算して描いた英語→経済の勉強→専門の勉強という道をまっすぐ進んできた。その過程でインターンの経験も複数積んだ。最初から目標の仕事に就くことに挑戦する。

最後に

日本の学生っぽくないなとインタビューしながら思った。そもそも海外で会っている訳だけど、それとは別に原元さんのこれまでの進路の取り方が海外の学生みたい。1つは在学中に勉強している内容に直結したインターンを積極的にして経験を積んでいること。もう1つは進路を決めるときの理由が明確で、とりあえず有名大学を目指すとか、とりあえず大手企業みないな横並びの日本の学生によくある感じはない。経歴を見たらこれから進む道も単純明快。

人との違いって、自分の気持ちに正直にまっすぐ行動できたなら、知らないうちに出るものかなって原元さんの話を聞いて思った。

2015年07月26日 | Posted in 国際協力, 留学 | タグ: , No Comments » 

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