大学再受験と休学してのインターン。 学んだ「自分自身の感覚で生きる」ということ。

片山さん
片山さん(22)
大阪府立大学で社会福祉学を専攻。現在4回生で1年の休学中。認定NPO法人フローレンスでの半年のインターンを終え、10月よりNPO法人Homedoorでインターンシップを開始。来年度4月より復学予定。
<略歴>

  • 2011年 立命館大学入学・中退
  • 2012年 大阪府立大学入学
  • 2014年 福祉事務所(生活保護課)実習
  • 2015年 休学してインターン
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    TL:休学してインターンをしようと思ったきっかけは何ですか?

    片山:昨年の夏にある自治体の福祉事務所で実習をしました。そこで制度と制度の狭間に落ちてしまったりして、行政の支援から漏れてしまている人たちがいることを知りました。公務員の方たちは精一杯の支援や努力を行っているのですが、やはり手が届きにくいところもあって。自分はまだ支援の手が届いていない人たちに行政の方たちとは違う視点からアプローチできればと思いました。すると、新しい公共とかソーシャルビジネスみたいなものに興味を持ち始めて。調べていく内に、社会起業・ソーシャルビジネスでトップを走るフローレンスでインターンをできることを知りました。周りの流れに自分を合わせたり、自分がもった疑問を見えないふりして放っておくのではなく、その疑問や「ん?」と思った感覚を大切にし、自分が心の底から納得できる進路を選択できるよう休学してインターンをすることにしました。

    TL:休学すると卒業が1年遅れる訳ですが、その点は悩んだりしましたか?

    片山:中高生の頃はどちらかというと積極性のある学生の陰に隠れてしまうタイプでした。大学生になってからは、行動力を評価されることもあるのですが、やはり何事にも慎重派です。選択するときは自分の中で腹落ちする感覚を得るまで考えるタイプなので、それなりに悩みました。私の場合は、実は最初に入った大学を中退し今の大学へ入り直しているので、2年遅れることになりますし。

    TL:それでも実際に行動を起こしたのは?

    片山:納得感の持てる進路選択をしたかったのです。結局、僕の場合はやってみないと納得感は生まれないと思っています。今まで中高一貫校へ通い、大学受験では特に自分のやりたいことを深く考えることもなく、成績や友人、両親に流されて立命館大学へと進学しました。行きたい大学や学びたい学問があったのですが、目を瞑って見えないふりをして。そんな感じで敷かれたレールの上を進むように大学に入学して、しばらくしたある時に他の学生が「俺浪人してたら○○大学行ってたわ」みたいなことを言っているのを耳にして。それに嫌気がしたことがあったのです。でも考えてみたら、同時に自分の中にも同じ気持ちがあることに気が付いて。当時入学から数ヶ月経っていましたが夢の大学生活のはずが全然楽しくなくて。流れに身を任せて入学したこと、受験勉強にあまり必死になれなかったこと、進路選択の時に自分の本音を無視したことに未練を感じている自分に気が付き、初めて本気で自分の進路を見つめ直しました。結果中退して次の年に現在所属の大学へ入り直すことにしたのですが、この中退を決めるまでに悩んだ数日間が自分の人生の中ではすごく濃密で、それ以降選択をする時は「納得感」を大事に、進路を選択するようになったんです。だから今回の休学も実習で福祉の現場に疑問を持ったので、少し時間をかけてもしっかり自分で納得した上で次の進路を選びたい、やりたいことをしたいと思いNPOでインターンすることを決めました。

    片山さん2

    TL:実際にインターンしてみていかがですか?

    片山:フローレンスと言えばネームバリューもあり、正直はじめは就活の為になると言う気持ちもなかったと言えば嘘になります。幼少の頃から周りにどう見られてるかとか評価を常に気にするタイプだったので。でも結果的に得たのは肩書きとか評価ではなくて、自分が自分らしく居て、強みを最大限活かすにはどういうスキルを身につけ、ポジションにつくことが必要なのか、どういう組織とかチームに居ることが自分が心地よく社会にも大きなインパクトを与えられるのかなど、自分の思考行動特性や社会との関わり方を見つめ直すという経験です。シンプルに言うと、肩書きとか名誉とか世間体ではなく、自分の気持ちに素直になって、内なる声に従い行動する生き方を学びました。そうすれば自分も社会も幸せだなって。

    TL:このインターンを終えた後はどうするのですか?

    片山:10月からもう一つインターンをする予定です。大阪にあるHomedoorというNPO法人で「ホームレス状態を生み出さない社会構造」を作るために活動しています。元々自分の関心の強い分野であるのに加え、代表の川口さんの方のプレゼンを聞いた時彼女の原体験や考え方、問題解決のためのアプローチ方法がストンと落ちてきて。社会起業に関心を持ち始めたきっかけになったこの人たちと、自分が最も強い問題関心を持つ貧困層にアプローチし、その人たちが助けを必要としている時に助けられる仕組みが、水道とか電気みたいに社会のインフラになっている社会を作りたいと思っています。そして来年度は、インターンを続けながらかもしれませんが、大学に戻って改めて自分のビジョンである「あらゆる組織が経済性と社会貢献性を両立できる社会」を実現すべく、学業に専念し、進路を精査していこうと思っています。就職に関しては、そのビジョンにある程度沿い、自分が「誰と」「何を」「なぜ」に納得感を持って働ける所ならどこでも良いかなと。これまで福祉とNPOの知識をつけて来たので、何か3本目の軸(専門性)を自分の中で作れたらと思っています。
     出会う人や情報によって今後の自分自身も変化・成長していくと思っていて、だからこそ「自分の感覚を信じる」ことは忘れてはいけないことだと思っています。僕が大きく影響を受けたフローレンスの石川さん・森下さん、 NPO法人カタリバの低引(そこびき)さんから学んだことがあって、「感覚は論理を超える」と。未来から逆算してロジックで自分のことを考えたりすることも大切ですが、その時の直感・感覚・感情を無視せずに自分の心の内なる声に従い、心から納得出来る道を選んでいきたいです。そうすることが結果的に自分が気持ちよく、かつ社会に大きな価値を生み出せると思っています。

    2015年10月11日 | Posted in NPO・NGO | | No Comments » 

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